神津島エコツーリズム推進協議会

 

エコツーリズム

暮らし

神津島は伊豆諸島一の水揚げ量を誇る漁業の島です。
漁師も多く、漁にまつわる神社や
神事が多く残されています。


神事

毎年8月2日に物忌奈命神社で行われる「かつお釣り神事」は、その昔、鰹節を年貢として収めていた時代からの、漁業の安全と豊漁を神に感謝し奉納する行事で、境内を漁場にみたて、青竹で作った船に若い衆が乗り込み豪快に駆け回り、観衆をカツオにみたて餌ならぬ菓子やおひねりを撒き、水揚げ入札や女装した若者が荷を運ぶ寸劇も披露されます。

食文化

環境に恵まれない神津島では、昔はさつま芋を主食としていました。

神津島と言えば「いも」
①あぶらき:茹でたさつま芋と片栗粉と小麦粉をこね合わせ、油で揚げたもので、冷めても美味しく日常的に食べられます。
②切り干し餅:干したさつま芋の粉ともち米を蒸し、餅をつくる手順でつくる独自の餅で、焼いたり揚げたりして祝い事で食されます。


しょうゆめし(神津島の郷土料理)
 もち米を少し加えたお米を岩のりと醤油、油を加えて炊き上げた代表的な郷土料理です。各家庭のおふくろの味で、日常的にもお祝いときなどにも食べられています。

湧水

神津島には、火山活動と地質的な特徴からできた地下水脈が、島には珍しく豊富で美味しい湧水を各所にもたらしています。貴重な資源である地下水脈は、生活の源である水道水、島特産の焼酎や地ビールの醸造にも使われ、生活と自然環境に豊かな恩恵を与えています。

方言

神津島には九州経由からの南方系と本土経由からの北方系の人が住みついたと言われており、島独特の方言(神津弁)があります。

海エリア

伊豆諸島の最も西に位置する神津島の海は 透明度が高く、深場からのプランクトンが上昇し 回遊魚が集まる豊かな漁場です。
栄養分豊富な湧き水が流れる沿岸部には海藻類が生息しています。そして、流紋岩に含まれる無色透明の鉱物「石英」を多く含む白く輝く砂浜が広がり、砂の粗さと黒潮が透明度の高い水中環境をつくっています。

バリエーション豊富な地形

神津島には、長い年月をかけて波などで浸食された海の景色があります。島の北部に位置する赤崎遊歩道周辺や南部の断崖にある千両池など自然の入江、そして「ぶっとおし岩」や「鏡穴」など海岸にできた洞窟(海蝕洞)があります。また、海中にも洞窟や縦穴(チムニー)など、神津島独自の壮大な景色が広がっています。

持続可能な海の資源管理

神津島の海は、カンパチ、イサキ、シマアジ、アカイカなど多様な魚が生息する漁場です。この豊かな海の資源を枯渇させることなく活用していくため、漁業関係者で自主ルールを設け持続可能な資源管理の取組を行っています。

海水温上昇

地球温暖化などの海水温の上昇により、磯焼けが拡大し、テングサなどの海藻類が減少しています。その結果、海藻などを餌として生きる貝類の減少に伴い、イセエビなども急激に減少し、海の生態系に大きな影響を及ぼしています。一方で、水温上昇により、南の方に暖帯に生息している南方系の魚が増え、赤崎遊歩道などの海中にはサンゴが定着しています。

陸エリア

神津島は大陸と地続きになったことがないため、シカやイノシシなど
哺乳類(コウモリ類を除く)や両生類が
生息せず、独特な生態系が保たれています。

天上山

 天上山は神津島の最高峰(標高 572 メートル)で、流紋岩質の台形状をした溶岩ドームに分類される火山です。その姿は「洋上のアルプス」や「黒潮に浮かぶ展望台」とも称され、山頂には伊豆諸島固有種の花々などが咲き誇ることから「花の百名山」や、山頂からの眺望の素晴らしさから「新東京百景」にも選定されています。

黒曜石

 黒曜石は流紋岩質のマグマが急冷して固まった天然のガラスです。旧石器時代から縄文時代にかけて矢じりやナイフに使われました。本土の遺跡から神津島産の黒曜石が出土していることから、3万8千年前に神津島への往復航海(世界最古)の証になっております。

外来種問題

  神津島には、ノネコ(野良猫)やネズミ類、セイタカアワダチソウ(植物)、リュウキュウツヤハナムグリ、サツマゴキブリ(昆虫)などの外来種が確認されており対策が必要です。対策としては「入れない」「放さない(逃がさない)」「拡げない」が重要です。

 

星空

神津島村では美しい星空を観られる環境を次の世代に残すために、夜空を守る取り組みを進め、 2020年12月に国内で2番目の「星空保護区®*」に認定されました。
*星空保護区は単に「星がきれいに見える場所」ではなく、光害から夜を守るために夜空の暗さを定期的に測定したり、光害や星空に対する理解を深める様々な活動などを行っています。 「星空保護区®」は一般社団法人星空保護推進機構(DPA)の登録商標です。

水平線に沈む夕方の太陽

神津島の集落は西に面しており、水平線に沈む夕陽を気軽に眺められます。なかでも11 月中旬の前浜海岸から遠方の恩馳島に夕陽が重なる景色は圧巻です。また、日没後には海に沈みゆく月や星座の天体ショーを静かに楽しむことができます。

天然のプラネタリウム

神津島は真っ暗な海に囲まれ、集落の明かりの影響も少ないので、島から見る星空は国内屈指の美しさを誇ります。気象条件などが揃えば6等星の暗さの星や、都心部ではなかなか見ることができない1等星のカノープスも観察できます。

光害問題

光害とは、照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起きる様々な影響のことです。例えば、研究や教育活動としての天体観測を妨げ、野生生物を脅かす光、エネルギーの浪費などがあります。  神津島ではオオミズナギドリなどの海鳥の一部が人工の明かりに誘引され、路上や集落内に不時着しています。一方で、 光害対策として島内の不要な道路灯を撤去し、適切な屋外照明に改修したことで、ウミガメが海岸に戻り、産卵したことが確認されました。