秩父堂(秩父三十四観音霊場)
chichibudo
旧跡・名所
「秩父三十四ヶ所」を模してつくられました。ハイキングと景色が楽しめます。
秩父堂について
ここ「秩父堂」は、かつての島民が「秩父三十四ヶ所」を模してつくった場所です。
「秩父三十四観音霊場」は、埼玉県秩父市・秩父郡横瀬町・秩父郡皆野町・秩父郡小鹿野町に点在しています。
この霊場が造られた経緯については、明らかになっていることは少なく、遠く文暦元年(1234)甲午3月18日開創と伝えられ、長享2年(1488)の秩父札所番付(札所32番蔵)が実在する事から、既に室町時代末期には秩父札所があったと考えられています。江戸時代になると観音信仰が庶民の心の支えとして流布し、隆盛をみるようになりました。
神津島の百観音は、大切な人が心安らかに成仏するようにとの願いを込めて、お参りする場所でもありました。秩父堂では、亡くなった方の安寧を願い、親戚や友人などが参道の椿の葉をお札に見立てて、山頂の秩父堂に納める風習がありました。34名が1枚ずつ34の石像に札を納め、これを2回か3回ほど繰り返したそうです。他にも、参道には島民が私財を投じて建てた観音様や道祖神などが数多くあります。神津島の暮らしに息づいてきた信仰心の篤さ、幸福を願う心を感じてください。
お堂への道のり
山道入口からお堂までは往復70分ほどかかります。
まっちゃーれセンター(観光協会)から歩いて40分、車で約15分で山道入口に到着します。
入口から道を隔てた向かいにトイレが設置してあります。入口から下山口まではトイレがありません。山道に入る前に、寄っておくことをおすすめします。
山道に入ってからすぐは、上り坂が続きますが5分ほどで緩やかな道になります。
また、1月後半から3月頭にかけて椿の花が山道に咲き乱れます。色鮮やかで、可愛らしい椿を愛でながら、ゆったりと登ることができます。
緩やかな山道では、天気が良いと木漏れ日が木々の間から漏れ、まるでトトロの森のトンネルのような景色を楽しむことができます。
日ごろ見ることのできない、穏やかな景色に癒されること間違いなしです。途中、山道が開けて天上山を望む景色も堪能できます。
山道を進んでいくと、途中で少し開けた場所が現れ、ここに写真のような「南無阿弥陀仏」と刻んである石碑を見ることができます。
島民の間では、秩父堂への道中にこういった石碑を置くことで、お堂に着く前から亡くなった人を供養する気持ちをしっかり持って登っていたと言われています。
「秩父堂」と書かれた看板が現れますが、ここからが山道の本番。
少し急な上り坂がお堂まで続きます。
登りが急になってくる道には、途中途中に掴まることのできるロープが設置してあります。
このロープは、ある程度長い距離を一本で繋いでいるため、他の人が体重をかけた分だけ動いてしまいます。注意して掴まりましょう。
足元は、丸太でしっかり固定されていますが、つまずかない様に気を付けてゆっく登りましょう。
お堂に近づくにつれて、山道両脇に仏様が現れます。
これは、島民の方々が自らお金を出して亡くなった人を供養するために建てたものです。
一体だけのものや、何体もの仏さまが並んでいるものもあります。
山道を登り切ると、仏様が密集して安置してある広場に出ます。
お堂は、この広場の左奥に位置しています。
広場には、写真のような集落全体を見渡すことができるベンチもあります。
ここで一休みするのも良いかもしれません。
霊場を通り過ぎると、秩父山山頂にたどり着きます。
近くにはお堂があり、中には仏様が数体並んでいる様子を見ることができます。
広場の奥に入るとようやく秩父霊場にお目にかかることができます。
昔、島民がこの場所まで椿の葉一枚をお札一枚と数え、三十四枚お供えしていたことを想像すると、この言い伝えに習って、落ちている椿をお供えしても良いかもしれません。
さらに奥に進んでいくと集落とは反対側の景色が一望できるベンチがあり、多幸湾と天上山をじっくり眺めることができます。
展望スポットを抜けると下山の道に入ります。
丸太で足場は固めてありますが、足元を見ながらゆっくり下山しましょう。
約15分ほどで下山口に出ます。出るとすぐ目の前の車道を渡った先には「三浦湾展望台」があります。